2018年3月20日火曜日

PacBio Sequel v.5.1  ~もうバージョン5.1になってました、、、

装置やソフトウェア、試薬のバージョンアップは、この業界では頻繁にあることです。
今のSequelでは、装置ソフトウェアと解析ソフトウェアが同じバージョンでそろっていて、試薬やケミストリーが別のバージョン番号で管理しているのです。
ちょっとややこしいですが、試薬・ケミストリーが v.2.1で、ソフトウェアが v.5.0 という感じだったんですね。
解析ソフトウェアSMRT Link(SMRT Analysisを含む)のバージョンが、装置ソフトウェアと同じバージョンです。

そこで今回、新たなバージョンアップ!

ソフトウェアが v.5.1になり、ケミストリーが 2.1 version 2 に!
ん? v.2.1 のさらに v.2 って・・・ と思う方もいるでしょうが、そこは気にしないでください。

装置&ソフトウェアの v.5.1と、試薬 v.2.1(v2)を使った場合のスループットがこちら。
ロングライブラリ(35kb)を10時間読んだとき

ショートライブラリ、5kbアンプリコンを20時間で読んだとき

そう、v.5.1から、10時間ムービーと20時間ムービーが選べます。
20時間で読む場合は、LRという別のSMRT Cellを使う必要があります。
(因みにスタンダードのセルよりもLRセルの方が若干高価)

どう使い分けるのか?ですが、今のところ、
  • ゲノムアセンブリのような長いインサートライブラリは10時間
  • PCRアンプリコンやIso-Seqのような短いライブラリは20時間
をお勧めしています。将来的には変わるかもしれませんが、今はこのように、長いライブラリは今まで通りの10時間で読み、短いライブラリは、もちろん10時間でも良いけれど20時間で読むこともお勧め、ということです。
もちろん、20時間で読んだ方がロングライブラリでも長く読めるのでは?という疑問が出てくると思いますが、今のところ、ロングライブラリを20時間で読んでも、10時間で読んだときと平均リード長はほぼ同じ(最長リードは長いが)。というデータが出ています。
LRセルの方が高価だということを考えると、10時間でも費用対効果は良い。

ところが短いライブラリで、主にCCSを作ることを目的としたシークエンスでは、20時間は生きてくるのです。
先のデータによると、

35kbライブラリの場合、10時間で読んだとき
  • データの半分以上は、30kb以上の長さのリード(ポリメラーゼリードとサブリードはほぼ同じ長さとみて良い)
  • 最長リードは90kb超え
  • 1セルあたりの出力塩基数は 10Gb
  • 出力リード数は40万

5kbアンプリコンライブラリの場合、20時間で読んだとき
  • データの半分以上は、70kb以上の長さのリード(アンプリコンサイズが5kbだから何度もインサートを繰り返し読むことのできるポリメラーゼリード、が多く出力される)
  • 最長ポリメラーゼリードは180kb超え
  • 1セルあたりの出力塩基数は20Gb
  • 出力リード数(この場合出力CCS数と言っても良い)は40万

アプリケーションごとのSequel v5.1パフォーマンス(1 SMRT Cell あたりの出力)は以下のようになっています(v5.1 Software Upgrade and Performance Overview - Customer Training より引用)

Whole Genome Sequencing for De Novo Assembly
-Up to 10 Gb:サイズセレクション済の 40kb以上のロングライブラリの場合
-Up to ~7-10 Gb:サイズセレクション済の 15-40 kbロングライブラリの場合

Iso-Seq 完全長 cDNAシークエンス
-Up to 20 Gb
-Up to 250,000-350,000本の full-length non-chimeric (FLNC) reads

Targeted Sequencing (アンプリコンシークエンス)
-Up to 20 Gb
-Up to 300,000 CCS reads:2.5 kb アンプリコンの場合
-Up to 200,000 CCS reads:5 kb アンプリコンの場合
-P1リードのうち 40% 以上は QV 30 のCCSを作成可能:5 kb アンプリコンの場合

Structural Variation Calling (構造変異解析)
-Up to ~7.5 Gb: サイズセレクション済の 15kb ロングライブラリの場合

「Up to」と書かれていますね。これは、そういう意味です。
必ず出る保証はないけれども、うまくいけばこのくらいの塩基は読めるという。

と書いていて自分で言うのも何ですが、数字ばかり並べてもあまり説得力がないと思います。
それぞれ、研究にどれだけ使えるのかを具体的に示せなければ意味が無い。
これについては次に書く予定です。

お知らせ:
3/25-26 日本育種学会総会
3/27-28 日本細菌学会総会
にそれぞれ出展します。どちらも福岡での開催です!

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