2016年6月2日木曜日

Superbug との戦いは続く

今年度が始まったかと思ったらもう6月ですね。
忙しくてブログを書いている暇もなかった・・・という言い訳はしません。

さて、伊勢志摩サミットが終わりました。
あんなに警官動員してテロを警戒していたのに、終わってみればあっけなく。
オバマ大統領が広島の原爆ドーム前でスピーチしたことだけが、大きなニュースになっていた感じ。 
サミットよりこっちの方が大きいニュースになるなんて。

そういえば、
伊勢志摩サミットの議題の一つに、感染症対策などの保健課題、というのがありました。

ここに、AMEDが今年の1月8日に発表した記事があります。
プレスリリースによると、
「国立感染症研究所の鈴木室長、黒田センター長らは、グラム陰性桿菌に対する重要な抗菌薬として位置づけられる抗生物質「コリスチン」に耐性となる遺伝子mcr-1が日本にも存在することを、薬剤耐性菌のゲノムデータベース「GenEpid-J」を探索することにより突き止め」た、そうです。

コリスチンは、薬剤耐性菌に対する「最後の砦」ともいえる抗生物質らしいですが、その薬に耐性を持つ遺伝子が、mcr-1です。
この遺伝子が家畜などの動物染色体内にあることは、数十年前からわかっていたらしいですが、問題はこの遺伝子が、Plasmidによって異なる大腸菌に運ばれるらしいのです!

細胞壁構築阻害剤のカルバペネム系抗生物質に耐性を示すSuperbug、CRE(carbapenem-resistant enterobacteriaceae)が、もしmcr-1遺伝子を獲得してどんな抗生物質も効かなくなったなら、それは悪夢です。
まさに、「nightmare bacteria」と呼ばれるゆえんです。

メリーランド州にあるWalter Reed Army Institute of Researchでも、最前線でSuperbugの研究が行なわれています。
軍の施設なので、そういう危険な菌の研究が行なわれているのは、ひょっとして細菌兵器の開発?なんて疑ってしまいますが、そんなことは無いでしょう。
これほど人の移動が多く、あっという間に全世界に広がってしまう、かもしれないSuperbugの情報は、もはや一国で管理できるレベルではなく、各国で情報をシェアしあいながら常に監視していかないとダメでしょうね。
そんなことが伊勢志摩サミットで話し合われたのかなあ、と思いました。

Water Reed研究所では、PacBio RSIIが、Superbugのゲノムシークエンス&Plasmidシークエンスに大活躍しているそうです。
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