2014年4月9日水曜日

海外の学会

先週の週末からサンディエゴに来ています。
AACR: American Association of Cancer Research - アメリカのがん学会です。
とても大きな学会で、ASHG - American Society of Human Geneticsの倍以上あるでしょうね。
会場がまた、だだっ広い。
メイン会場は、2000人は余裕で入れる部屋です。

がんの分野はもう、Whole ExomeとかWhole Genomeとか、シークエンスで大規模に読むのが普通なのかな、と期待していたのですが、「意外と」まだまだやっているひとは、割合的には少ないように感じました。
Whole Genomeシークエンスはあまり好きではない、とはっきり言っている方もいましたし。
でも、確実に、研究分野では、大規模シークエンスでMutationを見つけていく方向に進んでいるように思います。
そんな中、PacBioを使ったらもっと良いのになあ、という研究もありました。

アイソフォームの種類の検出です。 Exon-Intronの認識ジャンクションにポイントミューテーションが入り、結果としてIntronが抜かれない、というようなタイプ。
Exonの配列の中で、これまた変異が入り、Intronとして間違って認識されて、抜かれてしまうタイプ。
そんなのも見つかったそうです。
発表者が偶然、私と同じ大学(カナダの某University)出身だったので話が弾みました。

あと注目したのが、Foundation Medicine (http://www.foundationmedicine.com/)
名前は聞いたことがありましたが実際に彼らと話をしたのは初めてでした。
がんの研究をやっているひとなら、耳にしたことがあるのではないでしょうか?
ケンブリッジに本拠地を置く、診断向けのパーソナルシークエンスサービス企業です。
NASDAQにも上場しています。ビル・ゲイツも投資しています。

ビジネスとしては、クリニックからサンプルを受け取って、自分たちで開発したDNAプローブを使って、ターゲットをキャプチャーし、HiSeqでリシークエンスした後、独自のソフトウェアで、Cancer Panelの遺伝子を検査し、バリデーションを含めて返す、というものです。
FFPEサンプルからゲノムDNAを抽出し、がんサンプルが全体の20%未満のサンプルは検査しないという基準を設けているそうです。
彼らのメソッドは Frampton et al., Nature Biotechnology Nov 2013 に発表していますので、興味のある方は参照ください。
本格的な診断目的のシークエンスサービスで成功している企業です。
日本からもこういうベンチャーが出て欲しいですね。

さて、そこで話した彼が、なんと数年前までPacBioにいたことが判明!
あいつ知ってる?こいつまだいる? みたいな話で盛り上がりました。


狭い世界ですね。


狭いと言えば、百以上の企業が出展している展示会では、いくつかのブースで、知ってる顔が。
「あれ? 転職した?」
「そうなんだよ、元気?」
といった具合で、企業を渡り歩いている人たちに会えるのも、また楽しいものです。
彼らも実力・実績があるから、渡り歩けるんだなあ、と感じています。

もうひとつ、私が前いた会社で、付き合いのあったアメリカのソフト開発企業があります。そこのアジア担当が元PacBioの人間かつ私の知り合い。
そして彼は転職して今、別の某ナノテク機器の会社の人間。 そのナノテク会社の何人かは、昨年シンガポールのバーで偶然知り合ったひと。

本当に狭い世界です。 偶然とは思えないほど。


もうひとつ、これは名前出して良いと思うのですが、私が前の会社で担当していた、デンマークのCLC-Bioという会社のソフトウェアがあります。
Genomics Workbench です。 この会社は昨年、Qiagen社に買収されました。
また、今の会社で、長年扱っているIngenuityというアメリカの会社のソフトウェアがあります。
この会社もまた、昨年、Qiagen社に買収されました。
一昨年前にASHGの学会で知り合いになった、Maverixという会社、も、今月Qiagen社と提携を組みました。
私が好きな会社が次々にQiagenに組み込まれていくのは偶然でしょうか?
ま、どちらとも仲良くなればそれでよりいっそうネットワークが広がっていく、と考えることにします。
向かって右がIngenuityのVP:ジェイソン, 左がCLCの部長:ミケル(肩書きはすぐ変わるので間違ってたらすみません)
ちなみに私の持っているビールはIPA: Ingenuity Pathway Analysis

知らない方のために説明すると、IPAは本当はサンディエゴの地ビールで、India Pale Aleの略です。 Ingenuityの目玉ソフトウェアの名前もIPA:こちらはIngenuity Pathway Analysisの略です。
IngenuityのパーティなんだからIPAでしょ。

明日は最終日です。
ちゃんと仕事はしています。




0 件のコメント:

コメントを投稿