2013年3月18日月曜日

PacBio CEO インタビュー

PacBioの今のCEOといえば、伝説の男、Mike Hunkapiller (ハンカピラー、「ピ」にアクセント)
シーケンスビジネスの重鎮です。
アプライドバイオシステム(ABI)社で21年間を過ごし、1995年から2004年までは社長兼ゼネラルマネージャーでした。 
その後ベンチャーキャピタルを通じてPacBioを資金的にサポートし、2012年からPacBioの社長兼CEOです。 ゲノムプロジェクトで一世を風靡した、Celera Genomics社の創始者のひとりでもあるんですよ。

そんな彼ですが、喋ると意外に気さくな感じ。
一緒に記念撮影パチリ!も応じてくれました。

彼のインタビューがYou Tubeに載ってます。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=kgz5K3evWtw


DNAシークエンサーの革命はSanger法から始まります。
長く、とても正確に読めるこの方法は、今でも広く使われていますね。 私もゲル板で読んでいたので、ガラスの中にゲルを入れて固めたあと、あの、コームを抜くときの快感が忘れられません! 
キャピラリーも、ゲル充填の後の、気泡を抜くのがあったなあ。

と、キャピラリー全盛でABIの独占状態が続くなか、いわゆる「次世代」シークエンサーが現れました。 これはSangerよりもリード長が短い、という欠点があるものの、スループットが膨大でした。
このあたりから、シークエンスを“塩基あたりコスト”で測って、「次世代の方がSangerよりお得」のような空気が出来てきます。

例え数十塩基しか読めなくても、数千万、数億本もリードが出てくる。 これは今までのシークエンサーの使い方を大きく変えました。
タグカウンティングです。
SAGE、RNA-Seq、ChIP-Seqなど、リードの本数を利用してその遺伝子やゲノム部位のコピー数や発現量、修飾などを解析していく方法です。
今までマイクロアレイの独壇場だったフィールドにシークエンサーが使われるようになったのです。

しかしこれらの解析はいずれも、リファレンス配列が必要です。
既に読まれているゲノム配列に対してマッピングし、そこからほかのサンプルと比較してどこが違うが見つけるのです。
Exome-SeqでのSNP検出なんかもそうですね。
そういうリファレンス配列は、これまたSangerで読まれて決定されていたりします(非モデル生物などでは最近はNGSも積極的に使われていますが)。

そういう参照配列がなく、未知の配列を読まなければならない(de novo )とき、確かにショートリードを使ったペアエンド技術やメイトペア技術も貢献しますが、限界もあります。
一本のリードで出来るだけ長く読むことが今も必要とされている」のです。

現在、10kb以上連続して読めるシークエンサーは、PacBio以外に存在しません。
その長さもやがて倍になり、スループットも向上します。
長く読めるという価値が今以上に大きくなれば、相対的にコストは下がるでしょう。
これがPacBioの考え方です。

CEOのインタビューに戻ります。
ライバルのIllumina社、LifeTech社は、シークエンサーの診断目的利用を視野に入れて挑戦を試みているがPacBioはどのような目標を持っているか?
という質問です。
Mike曰く、Pacのユーザの中には、クリニカルユースを目指して研究しているところもある。
勿論カウンティングベースの診断にはスループットが高いショートリードが向いている。 しかし長い領域のDNAを見なければならない分野、リピートの数が数kbに及ぶときや、HLAタイピングなど、ロングリードが必要な診断もある。 まだ研究段階だが、いずれ診断に応用できる日が来ると思う。

私も、シークエンサーの目指すべきひとつの大きな道は、診断・クリニカルユースだと思います。
Agree !

それには超えるべきいろんな壁があると思いますけどね。 挑戦です。

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