2013年1月14日月曜日

Pacの影の立役者


先週、東京大学で行われた "新学術領域「ゲノム支援」国際シンポジウム" に参加してきました。

PacBioからは、創設者のひとりであるJonas Korlach氏が講演。
彼は度々Menlo Parkへ行った時に会っていましたが、すごく頭の切れるひとです。
シンポジウムには、PacBioのエラーコレクションで度々登場するpacBioToCAの開発者であるSergey Koren氏も。 個人的には今回初めて会いました。
JonasさんはPacBio社の中ではCSO(Chief Science Officer)という大変偉い肩書きなんですが、とても話しやすく、親しみやすい性格です。典型的なドイツ系、真面目で堅実。

彼は、PacBioを使ったメチレーション検出の論文には必ず登場します。
バックグランドが分子生物学で、最初はポリメラーゼの動きに興味があったそうです。
ヌクレオチド取り込みの時に酵素の立体構造が変化する。 その時の、動きの変化、の方に最初興味があったとのことです。
DNAシーケンスよりもポリメラーゼに惹かれていたんですね。
やがて、ZMWとSMRT Cellができて、DNA配列を読んでいる時に気がつきます。 
リアルタイムで読んでいるから、同じ配列を読んだ時、Kineticsデータ(パルスとかに現れる、ポリメラーゼの塩基取り込み時間のデータ)も同じになるのではないか、と。 

実際、2つの全く別の箇所にある同じ配列の、Kineticsデータは、ほとんど一致したのです!
そこから、ポリメラーゼの動きのパターンが配列に相関するなら、その動きの変化からDNA配列上に起こっている何らかの修飾(塩基修飾)も予測できるのではないか、と思ったそうです。

以来、PacBioRSは配列を長く読むことに開発資源を投入しているように見えますが、裏ではずっと、Kineticsデータからの塩基修飾予測に力を入れてきました。
昨年後半から、コンスタントに、PacBioを使った塩基修飾の論文が出ています。
まだバクテリアに関するものばかりですが、いずれ、真核生物の修飾も論文に出てくるでしょう。
世界中のPacBioユーザーが、この分野で挑戦しています。
まったく新しい技術なのでトライアンドエラーの繰り返しでしょうが、失敗を恐れずこれを突破するひとが出てくるでしょう。

最新のメチレーション関連の論文(ほーらここにもJonasさん登場):
Maria Lluch-Senar et.al (2013). Comprehensive Methylome Characterization of Mycoplasma genitalium and Mycoplasma pneumoniae at Single-Base Resolution. PLoS Genetics 9 e1003191
Pubmed

 

0 件のコメント:

コメントを投稿